商連かながわ


 名古屋市の名古屋学院大学には、商店街を活性化させてきた、学生が運営するカフェ「マイルポスト」がある。約10年前から続く学生カフェの草分け的存在であり、現在の店舗は3代目だ。こうした学びの場と商店街について、同大学経済学部教授の水野晶夫さん達に話を聞いた。

 
 
 


【学生と商店街の自然な繋がりから、カフェ開店までに発展】
 全ては平成12年ごろ、瀬戸市の銀座通り商店街(振)で始まった。大学生と商店主たちがイベントを通じて知り合い、空き店舗を活用した学生店長のカフェ「銀座茶屋」の開店にまでこぎつけた。それが14年に「マイルポスト」となった。店の売上は年商700万円前後、客数は年間のべ1万人となり、19年に大学が移転するまで6年間好調に運営された。(現在は別の飲食店となり業務を継続中)

 その後、同店は21年9月に移転先の名古屋市熱田区・日比野商店街(振)内に「カフェ&ベーカリー マイルポスト」として再出発した。それから広さを求め、同じ商店街の中にある大学の1階に店舗を移し現在に至っている。同店は10年余に渡って、二つの商店街の活性化に関わってきたことになる。

【シャッター通りが復活し、商店街の組合員が増加】
 どちらの商店街でも学生の活動は多岐にわたる。カフェの運営は学生だけで行い、その他に商店街イベントの手伝いや、情報誌の発行、商店街の逸品づくり、清掃活動なども行っている。

 具体的な成果としては、銀座通り商店街では、通行量が4年で1.5倍に増加し、空き店舗は14店あったのが徐々に埋まり、使用できない店舗を7店残すのみとなった。

 日比野商店街では商店街の組合員が増加した。マイルポストの開店を契機に45店から75店にまで増えたとのこと。近藤一磨理事長ほか役員たちの尽力あってこそだが、学生との連携活動が商店街に魅力を加えたことは間違いない。



【継続のためにはシステムと目に見える成果が必要】
 商店街での活動が成功している要因について“世話人”の水野晶夫教授は「リスクを背負える人がいたから出来た」と話す。瀬戸・銀座通りのおかみさん会のリーダーや、初代の学生店長となった女子学生。そういった個人を周りが支えることで事業が成り立っていくという。

 さらに、水野さんたちのチームは、大学と商店街の連携を持続させるための「システム」をきちんと整備した。

 学生のために、カフェの運営に関わることで単位をもらえるようにした。名古屋市と大学とで「地域連携協定」を結び、お互い担当者が変わっても商店街の支援を続けられるようにした。こうしたシステムが、学生・大学・商店街・行政などの様々な個人や組織が活動を継続させていくための元手になっていくのだ。

 水野さんは「大学としては、学生が社会への対応力をリアルに学べる場を持てることが第一。店を運営するためには商店街に長く関わることができる体制づくりが必要だった」と話す。通行量調査は目に見える成果を提示するためでもあった。数字を提示すれば、行政や大学は動きやすくなる。さらに関わる個人や組織に共通意識を持たせることができる。

【全ての主体がそれぞれの責務を担う】
 日比野商店街の近藤さんは「学生と一緒に何かやるにも、最初はとにかく人も金もなかった」と苦笑いする。40店ぐらいでは何もできない。だから近藤さんは組合員の勧誘を行った。「今では若手も増えて、商店街の人も育っている」様々な活動に参加店が徐々に増え、手ごたえを感じている。

 大学生との活動のコツを尋ねると「怒らない・焦らない・過度の期待をしないこと」。無理をしない・させないのが成功の秘訣だという。一緒にやっている時間が長ければ学生とも仲良くなるし、考えていることが分かるようになるという。

 8代目になる学生店長の福田菜摘美さんは「自分たち学生が“お手伝いさん”ではなく、商店街の仲間として加わっているところがいい」と話してくれた。商店街の会合に同席するし、イベントにも企画会議から参加し、一緒に事業を考えている。

 商店主たちとは、なかなか距離が縮まらないという時もあったが、ひょんなことから急に仲良くなれたりもする。人間としてとてもいい経験をさせてもらっていると笑顔で話す。

* * *

 学生と商店主は、一緒に他の商店街への視察旅行に行ったり、月1回の清掃活動の後にはカフェで朝食を食べながら交流会を開いたりもするそうだ。全国でも数多く見られるようになった「学生カフェと商店街」の活性化事例だが、長く続けるには裏方の地道なシステムづくりや相互関係づくりが必要不可欠だと言えるのではないだろうか。

(かながわ商店街新聞2011年06月号より)
2011/06/15 | かながわ商店街コラム::県外の先進事例紹介
 
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